崩れ落ちる社会保障制度を支える地域医療の重要性

今年の9月に、平成28年度 国民医療費の概況が厚生労働省から発表されました。その内容をかいつまんでお伝えすると、国民医療費は42兆1,381億円、前年度よりも0.5%の減少となっています。それに付随して、人口一人当たりの国民医療費も前年度から0.4%減少の33万2,000円だったという結果が出ています。

国民医療費の内訳を診療種類別に見てみると、医科診療医療費は全体の70%を占めており前年度よりも0.5%増加、歯科診療についても若干の増加が見られていますが、反対に薬局調剤医療費が5.0%と大きく減少しています。

どのような媒体でも口酸っぱく言われていることですが、これから少子高齢化はさらに加速していきます。そのため、医科診療医療費は伸び続けることが当然、予想されるでしょう。

となると、現時点であっても65歳以上の国民医療費は全体の60%を占め、人口一人当たりの国民医療費においては65歳未満の4倍近くとなっているのにも関わらず、さらに65歳以上の割合は増大していきます。

現在の医療は、社会保障制度なくしては成り立ちません。
従って、健康寿命を延ばすことは、結果的に国民一人一人のためでもあり、社会全体への貢献にもなるのです。

ここで、糖尿病に関する富山県の興味深い取り組みをご紹介します。

糖尿病とは、血糖値を下げる役割を担っているインスリンの働きが低下し、常に血糖値が高い状態が続いてしまう疾患です。
2002年に行われた糖尿病実態調査では国内で糖尿病と強く疑われる者はおよそ740万人でしたが、2016年の調査では約1,000万人にまで増加しています。

なぜ、糖尿病に焦点を当てたのかというと、例に漏れず富山県も糖尿病患者が増加傾向にあるからです。尚且つ、糖尿病を放っておくことで恒常的に血管に負担がかかり、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害といった様々な疾患を引き起こす可能性があります。

しかし、糖尿病になったからといって、すぐにこれらの疾患にかかるわけではありません。初期段階においては、生活習慣の改善によって重症化を防ぐことができます。
あるドクターによると、「患者さんは糖尿病と言われただけでは生活習慣を改めようという気持ちが起こらない。でも、いざ糖尿病が進行して足を切らなくてはならないという段階になって後悔してしまうんだよ。」と話されていました。

このような事態を鑑みて、富山県では25年ほど前から糖尿病に関する知識の提供を行い、医療機関と連携してフォローアップ体制を整えてきました。
近年では、糖尿病が進行して人工透析が必要な患者さんが以前よりも増えてきたことから、その重症化予防にも力を入れています。

具体的には、かかりつけ医と眼科や循環器を専門とした病院との医療診療ネットワークを構築、地域の保健師や栄養士が生活習慣の改善を指導して医療機関側にフィードバックするという仕組みが作られています。
また、医療保険者が治療を中断した方や未受診者に対して保健指導も積極的に行なっています。

このような取り組みをされていらっしゃるドクターには、本当に頭が下がります。
名医良医とは現状だけではなく5年、10年先を見据えて地域とも連携しながら患者さんの健康に貢献する姿勢を持っていらっしゃるのではないでしょうか。

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この記事の著者

原麻衣子

原麻衣子

外資系製薬企業においてMR(医薬情報担当者)を経験後、市立病院においての人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当。
その後、ベンチャー企業の人事を担当した後に、(株)メディエンスへ参画。
現在は、不妊治療関連を中心に、様々なWebコンテンツの制作、企画プロデュースに携わっている。

<関連サイト>
医療の人事ドットコム https://medical-jinji.com

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