そのまま放置しておくと、恐ろしい結果に結びつくクリニック受付の現実

こんにちは。クリニックにおける経営や人事のサポートをさせて頂いております、原麻衣子と申します。今月より、定期的に良医&名医ドットコムのコラムを掲載させていただくことになりました。

これまでに携わった、某外資系製薬会社におけるMR活動、市立病院の人事経験などをもとにお話しさせていただければと思っております。

突然ですが、皆さんはどんな時に病院やクリニックを訪れますか?

“風邪をひいてしまったから”
“家族の付き添いで”
“健康診断のために”

受診する理由は人それぞれ。抱えている事情も様々です。
とはいえ、日常生活の貴重な時間を使って、病院やクリニックへ行く時間を作っていることには変わりありません。

ここで、話題を飲食店に変えてみましょう。
最近、近所にできたレストラン。グルメ雑誌の中で、この地域の新店舗として取り上げられたこともあるお店です。

ちょうどイタリアンが食べたいなと思ったあなたは、距離的に近いこともあって一度、行ってみようと思い立ちました。
表通りに面したお店は白い外観で、店内の様子を伺うことはできませんが、思い切って扉を開けて入ってみることにしました。

しかし、店内はお昼時ということもあって店員さんは忙しそう。全く、あなたに気づいてくれません。
すみません、と3回ほど厨房へ声をかけてやっと一人の店員さんが寄ってきました。
そして「今、空いていないんで、もう少し時間かかりますよ。」と無愛想に一言。

ひとつのシーンをお伝えしましたが、みなさんは、このレストランにどんな印象を抱かれましたか?
こういった話は、何も飲食店や販売店などに限られたものではありません。病院やクリニックにおいても、同じことが言えるのです。

ドクターの評判もさることながら、そこの病院やクリニックの第一印象を大きく左右するのは受付です。

“愛想がない”
“言葉遣いが良くない”
“清潔感がない”

これらの要因はマイナスにしかなりません。

ちなみに、メラビアンの法則によると、第一印象に与える影響は視覚情報に最も左右され、その割合は55%だと言われています。対して、聴覚情報は38%、言葉の情報になると、なんと7%しかないそうです。

また、心理学では初頭効果という言葉がありますが、一度抱いてしまった印象はなかなか払拭できないものです。つまり、どれだけドクターの腕が良かったとしても、一旦、受付で抱いた印象というのはそう変わるものではないということです。

ここで実際に、受付に愛想の悪い人を雇用した場合、どのくらいの損失となってしまうのか考えてみたいと思います。
社会保険診療報酬支払基金が提供している統計月報の最新データをもとに、外来で患者さんが支払う1日あたりの単価を算出してみると、内科では7,610円、外科は7350円、小児科だと少し単価が下がって5,310円となります。これが、整形外科や皮膚科になると、さらに単価が低い傾向がみられます。
全体的に多少のバラツキがありますので、診療科ごとの単価を平均した6,000円を基準にして考察していきます。

仮に、1日に患者さんを1人ずつ失うとしましょう。

水曜日または木曜日の午後と土曜日の午後、そして日祝がお休みだとすると、月の診療日数は21.5日となり、なんと損失は1か月で129,000円、半年で774,000円。1年も経つと、1,548,000円もの損失が出てしまいます。
そのような医療機関では、患者さん1人と言わず、右肩下がりに患者数が減少する可能性を考えれば、損失はそれ以上になることでしょう。

医療機関は、善意だけでは成り立ちません。患者さんが来院し、通ってもらってこそ経営は成り立ちます。より良い医療を提供する用意はできていても、患者さんが減る一方では意味がありません。
そのリスクを回避する第一歩が、”受付”なのです。

近年では、病院やクリニックにおける身だしなみや言葉遣いなどを教えてくれる接遇研修を外部に依頼する医療機関も増えてきました。
これらを活用することに加えて、採用する段階から受付に相応しい人材かどうか見極めること。この部分を重要視することで、ドクターが持つ知識や経験を最大限に発揮することができる環境が作られるのだと感じています。

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この記事の著者

原麻衣子

原麻衣子

外資系製薬企業においてMR(医薬情報担当者)を経験後、市立病院においての人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当。
その後、ベンチャー企業の人事を担当した後に、(株)メディエンスへ参画。
現在は、不妊治療関連を中心に、様々なWebコンテンツの制作、企画プロデュースに携わっている。

<関連サイト>
医療の人事ドットコム https://medical-jinji.com

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