研究会・講演会企画でMRの存在意義を見出す!?

 医師や薬剤師の先生方からご好評の声をいただくことが多いのが、研究会や講演会の企画です。新薬が発売されたとき、新たな適応が追加になったときなど、その分野の第一人者の医師が講演する会には最新の情報を求めて多くの先生方が参加されます。あるいは薬に焦点を当てるのではなく、疾患をテーマにして病院とクリニックで患者さんの連携をいかに取って治療していくか、といった治療戦略に関わる研究会も多く開催されています。病院の勤務医とクリニックのかかりつけ医が実際に顔を合わせることでスムーズな連携が図れた、といった事例を聞くこともあります。

 いま製薬会社各社はこの研究会、講演会の企画に注力しています。それは、以前は行われていた接待ができなくなり、病院やクリニックでの訪問規制が強化されるなかで、自社製品のプロモーションを図るには研究会、講演会の企画がもっとも有効であると考えられているからです。また、研究会、講演会の座長や演者を務める先生方はその分野の権威である医師であったり、エリアの重鎮医師であったりしますので、MRとしても研究会や講演会の企画や案内が、医師と面会するための口実となるメリットがあります。そのため、研究会や講演会の企画や案内にMRの存在意義を見出し、活動の中心として位置付ける方も多くいます。

 ただ、こうした研究会、講演会に対する医師の評価、反応は以前と比較すると厳しくなっていきている傾向があります。その大きな要因が、誇張された宣伝を規制するためのルール「プロモーションコード」に対して製薬会社が過剰に反応していることにあります。実際に見聞きするトラブルとして、演者の発表スライドを事前にチェックして「このスライドは製品に対して誤解を招きかねないので削除してほしい、一方でこのスライドは自社製品の重要なメッセージなので講演に組み入れてほしい」といった製薬会社側の一方的な要求に演者が拒絶反応を示すというものがあります。他にも、何十年にわたって継続して開催されてきた研究会で、治療に難渋するような症例を検討することを目的として発足した経緯を無視し、製品のプロモーションも兼ねた概論的な内容を依頼することで、研究会の本来の趣旨・目的が損なわれ、会の存在意義が問われている、いう実例も耳にします。加えて、研究会や講演会の企画がMR主導から本社主導に代わってきています。以前はテーマを選ぶところから始まり、座長や演者などをどの医師にするか、どういった医師を参加対象にするか、といった企画の部分から会場の手配などの運営に至るまでMRは大きく関われていましたが、いまでは本社が演者の医師をリスト化したり会場手配を代行するなど、MRの自由度は損なわれています。

 もちろん、今でも高い評価を得ている研究会、講演会は数多くあり、開催することに意義があることは事実です。しかし、医師側は例えば「○○という薬を使うことで、いま治療が困難な患者さんにとって朗報となるだろうか」といった患者さん目線での情報を期待して会に参加されるのに対し、製薬会社側はあくまで自社製品の売り上げを増やすためのプロモーションツールとして捉えており、このギャップを埋めない限り研究会、講演会の意義は低いものになっていくでしょう。逆説的になりますが、こうした困難な状況だからこそ、ルールに則ったうえで他社とは差別化を図れる会を開催できる企画力、本社と連携を取りながらこちら側の意見を反映できうる折衝力がいまのMRに問われています。

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この記事の著者

ミスターM

外資系製薬会社にて約10年間、おもにクリニック・診療所を担当するMR。
MRに転職する前までは人材サービスのベンチャー企業2年間、その後アメリカ語学留学1年間というちょっと変わった経歴を持つ。
ベンチャー企業で培った「ベンチャー・スピリット」をもとに、NLP(神経言語プログラム)のMR活動への導入、自称・MRで日本初のiPad活用などひと工夫したMR活動を心がけている。
これまで多くの若手有望MRが会社での人間関係を理由に辞めていく様子を目の当たりにしたことから、新しいタイプのリーダーとして出世していき、「社員が毎朝活き活きと出勤する」ことの実現を目標としている。

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