- 2015-1-21

患者第一は当然のことですが・・・
何事も患者第一に考えることは当然のこと、誰もこれを否定する人はいないと思います。しかし、それでも日々の業務に追われ、自分本位の対応をしてしまうのは、病院の仕事だけではありません。どの業種においても、「顧客第一」は当然といえども、人を相手にする仕事は、その間に感情が介入しますから、お手本どおりの対応は実際のところ、難しいことが多いものです。忙しいときは、誰だって「忙しいオーラ」が出てしまいますから…
「患者第一」とは何をすることなのか?
そもそも「患者第一」とは、具体的にどのようなことなのか…だと思うのです。患者が求めることに対してすべて応えることが「患者第一」なのでしょうか。企業では、「顧客第一」を具現化し、それを社員に具体的行動で示します。ですから、企業それぞれに「顧客第一」が存在するのです。しかし病院の場合、「医療」という括りで、「『患者第一』といえばわかるでしょ!」と言わんばかりに、医師任せ、スタッフ任せにしているように感じられます。
患者第一に考える医師はここが違う
では、「患者第一」とは?!?! 例えば、術前の「患者第一」。
私も経験がありますが、手術をする患者はこれから自分がどうなるのかがとても心配です。術前の不安を取り除くことも「患者第一」の一つの行動だと思うのです。ある医師はこう言います。「手術に対して不安がない人はいない。その不安をどう紛らわすかは私たちの役目」と。
その医師の提案で、次のような「患者第一」を実践しています。手術日前日に患者の好きな音楽のジャンル(例えばクラシック、ジャズ等)と好みのアロマを訊いておきます。手術当日に、患者が手術室に入ると、前日に選んだ音楽がかけられていて、アロマが香っているそうです。不安を取り除く配慮をその医師なりに行動として表現しているわけです。
「患者第一」は“医療”と“サービス”を区分して提供するもの
患者がもとめることに対してすべて応えることが「患者第一」ではないと思います。診療に関することは、もちろん医師が主導し患者の治癒を最優先すべきです。一方で、患者がいかによりよい環境、心理状態で診察を受けてもらうのかは、医療の提供ではなくサービスの提供です。「患者第一」を考える時、それができる医師は、「医療」と「サービス」を区分して考える医師だと思うのです。