院内研修に参加する医師 ~情報収集、活用術が上手な医師~

 一般企業と比較すると院内研修が多いのが病院。接遇、リスクマネジメント、感染予防など全職員対象の研修から職種別の知識・技術修得研修、症例検討会、管理者研修などの研修が毎日院内あちらこちらで開催されています。
 
これだけの種類の研修が毎日のようにあると、「無理やり感」、「やらされ感」を抱かざるを得ないのも正直なところですが、研修は、組織の従業員に対する投資です。総額人件費の枠内である教育費に相当するもので、組織の一員として必要とされる知識、技術を従業員に修得させるための「人件費」の一部です。

よって、本来は研修対象者となる従業員は必ず参加するのが一般的な考え方ではありますが、なぜか病院はそうでもないのです。特に医師の参加率はどこの病院も非常に低いのが実態です。
確かに医師は、診療業務に追われ、かつ研修会にすべて参加するというのは現実的ではありません。しかし、それでも必ず研修会に参加する医師がいるのも事実。

ある病院で、管理者研修(組織・人事マネジメント系)に必ず顔を出す医師がいました。業務で遅刻することも、また途中退出のときもありますが、必ず参加するのです。そこで、「お忙しいのにいつも必ず参加されますね。」と声をかけたことがあります。

すると、「医者はね、この歳になっても(この医師は50代後半)組織のことをこうして勉強することってないからね。何となくわかっているつもりでも、やっぱり一度はちゃんと聞いておかないと。理論的に聞くチャンスは滅多にないからさ。知らないより知っておいた方がいいだろ」と。

この医師の「知らないより知っておいた方がいいだろう」発言は、研修という場面でお役立ち情報を収集していると思いました。自分の仕事に役立つかどうかは聞いてみなければわからない、聞いてみて役に立ちそうであれば活用するという活用術も持っている医師でもあります。確かに、この医師は、病棟で看護師や病棟クラークともよく話しをしています。他職種からの情報を日常からも取り入れて、自身の仕事に活用しているのでしょう。

病院での医師の居場所は、医師だけが集められている「医局」。扉は常に閉められていて、他職種のスタッフは滅多に入室しない部屋です。人が入らないだけではなく、情報も出にくい、入りにくいという特性があります。

院内研修の参加は、研修内容の習得のみならず、他職種からの情報を収集する絶好の機会でもあり、それを活用する医師は、他職種ともスムーズな連携がとれていて、診療業務にも大いに役立っていること、間違いありません。

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この記事の著者

大崎なごみ

大崎なごみ病院・介護施設の人材育成と組織開発のコンサルタント

病院・介護施設の人材育成と組織開発のコンサルタント。経営学修士(MBA)。

病院・介護施設を中心に、人事制度(目標管理、人事評価などを含む人事管理全般)の構築、運用のアドバイス、管理職から一般職員まで人事、組織開発に関する幅広いテーマで職場内研修も実施している。

医療関連学会、介護関連の各種団体では、医療介護業界における管理者(リーダー)育成、職場改善他をテーマに講演。医療・介護関連雑誌での連載多数。

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