診察時間を守る医師

「診察開始時刻に遅れることなく、診察を開始していたか」

 

これは、医師の評価制度で使われている評価内容の一部です。一般企業に置き換えると、「勤務開始時刻に遅れることなく、仕事を始めていたか」です。正直なところ、まるで子どもに対して「学校に遅刻しちゃだめよ!」と同レベルのような内容です。しかし、これが一部の医師の実態でもあるのです。このような初歩的かつ、社会人としてのきまりが守られないことが多いという表れともいえます。

 

今回は、「診察開始時刻が及ぼす影響」についてお伝えします。

 

大きな病院になればなるほど、診察開始時刻が守られていないように思われます。理由は単純で、勤務医の人数が多ければ多いほど、診察開始時刻に関しての考え方が多種多様だからです。「予約時間どおりに患者を診なければならない」「待たせてはいけない」と時間を重要視する医師もいれば、待ち時間など全く気にすることなく「丁寧に診察することが大事だ」「患者が納得するまで説明を重ねることが大事だ」という質重視の医師もいるからです。

 

どちらがよい悪いではなく、まずは「時間を守る」ということが仕事の原則であること、その上で限られた時間内に質の高い仕事をすること、“少時間精鋭”の仕事をすることだと思います。

 

診察開始時刻は、その後の業務の流れに大きく影響します。

開始時刻が遅れると、予約患者それぞれの予約時刻がずれ始め、それぞれの患者の待ち時間が発生します。そうでなくても、待ち時間は病院の永遠の課題で、いかに待ち時間を短縮するか、待たせ方を工夫するかの策が講じられています。診察開始時刻が遅れることだけが待ち時間の原因ではないのですが、それも一つの要因であることは否めません。

 

診察開始時刻が遅れるということは、診察終了時刻も遅れるということ。看護師や検査、放射線技師から聞くのは、オーダーが入るのが遅くなり時間外にまで業務が及ぶということです。必要な時間外労働は認められますが、診察開始の遅れから時間のずれ込み、オーダー(指示)の遅延による時間外労働は、コスト管理の視点からも非常に非効率です。また、診療に携わるスタッフの不満の原因にもなりかねません。

 

病院の一日の始まりである「診察開始時刻」。守られて当然のことではありますが、致し方ない事情により守られない時は、患者、周囲のスタッフに「遅れて申し訳ない」の一言が言える医師は、「いい先生」と言われるのでは?!

 

この記事の著者

大崎なごみ

大崎なごみ病院・介護施設の人材育成と組織開発のコンサルタント

病院・介護施設の人材育成と組織開発のコンサルタント。経営学修士(MBA)。

病院・介護施設を中心に、人事制度(目標管理、人事評価などを含む人事管理全般)の構築、運用のアドバイス、管理職から一般職員まで人事、組織開発に関する幅広いテーマで職場内研修も実施している。

医療関連学会、介護関連の各種団体では、医療介護業界における管理者(リーダー)育成、職場改善他をテーマに講演。医療・介護関連雑誌での連載多数。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る