インフォームド・コンセント“五箇条”

「被告は治療行為のリスクを患者に説明することを怠った」――これは2003年10月から放送されたドラマ『白い巨塔』(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shiroikyoto/)で唐沢寿明扮する主人公の財前五郎が敗訴するシーンの台詞です。

 

放送中は見逃したので、DVD発売後に毎週のようにTSUTAYAに通っていたことを思い出します。その後、医療訴訟の専門家をインタビューした際に教えていただいた「インフォームド・コンセント“五箇条”」がとても印象に残っています。

 

“五箇条”は福島県保健福祉部の「医療相談事例集」(2005年1月)に紹介されていましたが、現在は残念ながら非公開となっています。

(1)病気等の名前、症状

(2)予定する治療等の内容

(3)治療等のメリット、デメリット

(4)治療しない場合の見通し

(5)他に選択可能な治療法がある場合の内容と利害損失

医療提供者側がこの五箇条を実行しなければ、訴えられたら負ける可能性が高く、患者側がこの五箇条を知る権利があるというわけです。最近では、ブルーレターの発出が目立ちますが、副作用リスクの高い薬剤については、この“五箇条”についてより一層注意しなければならないでしょう。

<ブルーレター(安全性速報)>

http://www.info.pmda.go.jp/kinkyu_anzen/kinkyu_index.html

 

福島県の「医療相談事例集」は現在閲覧できなくなっていますが、他地域の相談事例集が公開されています。

◎静岡市 医療安全相談事例集◎

http://www.city.shizuoka.jp/000060484.pdf

(医師の発言▽感染防止の消毒方法▽医療従事者の人員不足▽患者の処遇▽夜間の診療体制▽医師の説明▽セカンドオピニオン▽治療方法の説明不足▽複数の医療機関受診時の説明▽検査の信頼性・回数▽調剤過誤▽薬局の指定▽薬の処方・服用▽診療録・検査データの提供▽領収書の不交付▽特別室料(差額ベッド代)の支払い▽守秘義務・プライバシー保護▽希望によらない転院▽健康器具の副作用--など)

◎熊本市の事例集◎

http://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=245

(医療過誤、医療事故▽医師及び医療従事者の不十分な説明▽医療上若しくは医療内容のトラブル▽医療従事者の態度 接遇▽費用に関すること▽健康や病気に関すること▽医療機関及び医師の選択、紹介▽診断書の発行、応召義務違反▽カルテ、諸記録の開示▽無資格医療行為▽医療従事者の数及び施設設備の環境▽セカンドオピニオン▽薬に関する相談)

掲載されている相談事例を読むと、「インフォームド・コンセント“五箇条”」を実践していれば、ほとんど起きることのないトラブルです。

 

副作用の規模に関係なく、“五箇条”をしっかりと徹底できる医師が良医だと思います。

 

この記事の著者

川越満

川越満

1970年、神奈川県横浜市生まれ。

1994年米国大学日本校を卒業後、製薬企業向けのコンサルティングを主業務とするユート・ブレーンに所属。

コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備える「コンサナリスト」(商標登録済)として、講演活動、書籍の出版プロデュースなどで活躍中。

医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。

現在は「業界入門書の制作」と「医師とMRの相互理解促進」を使命として、役立つコンテンツを生み出しつづけている。著作は30冊以上。肩書の「コンサナリスト」とライフワークの「セルフ・ブランディング」を10年前の2004年に商標登録している。

URL:https://consunalist.jp/

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