「ドクターに付加価値を与えるMRとは」

前回のコラムでは業界ルールでの接待禁止により、ドクターに対するアプローチが限られているという話をしました。ところが、こうした状況においても、いえ、こういう状況だからこそドクターに一目置かれ、実績を伸ばしているMRが存在しています。そうしたMRはずばり「ドクターに付加価値を与えることのできるMR」です!

 

そうしたMRに必ずといっていいほど共通するのは「徹底した顧客志向」です。顧客志向という言葉はどの会社も理念や活動方針として謳っていますし、それは製薬業界に限らずありとあらゆる業界においても同様でしょう。しかし、真の意味で顧客志向がなされているかどうかといった点では疑問符がつくのが現状です。

 

例えば、顧客志向から離れた活動の一例として、会社からの指示のためにお願いするアンケートがあります。これは建前上では「アンケートを取ることでドクターの意見を収集し、今後の活動に活かしていく」という大義名分がかざされています。しかし、実際には市場調査を目的としている、あるいはアンケートでの回答結果をもとに都合よく自社製品の宣伝につなげる、といった真の目的が存在することが大半です。

 

ドクターに付加価値を与えるMRはこうした自己都合によるアプローチをほとんどしません。そして顧客志向に基づき、たとえ会社から非難されても顧客のために尽くす、という覚悟を兼ね備えています。アンケートの例で言えば、たとえ会社からアンケートの回収を指示されても、顧客のためにあえてしない、といったところでしょうか。

 

こうした顧客志向のマインドをもとに、ドクターが本当に求める情報は何かを仮説を立てながら徹底的に考え、その情報をしっかりとリサーチしてお届けしているのが付加価値を与えるMRと言えます。それは自社製品に関する情報だけではなく、広く疾患について、患者さん個々の症例について、あるいは医薬の分野から離れてドクターの趣味や関心事について、ドクター一人一人に必要と思われる情報をオーダーメイドで提供しています。

 

私が尊敬する先輩は特定の患者さんについて、いわゆる「症例ベース」での話し込みがドクターとでき、必要に応じて競合する会社の薬をおすすめすることもあるそうです。そうした姿勢が信頼につながり、他の症例についてはお願いしなくても自然と自社製品が処方されているようです。

 

また、同様に尊敬している他社のベテランMRはとにかく地域の情報通で、インターネットでは調べることができない他病院や他クリニックなどの情報をさりげなく伝えてドクターからの信頼を勝ち取っています。私も以前、iPadが発売されたばかりのときに「これはドクターの関心を集める」と思ってすぐに購入し、早速iPadを使った情報提供をしたことがありますが、このときのドクターの食いつきはかなりのものでした。おかげでiPadに詳しいと思われたため、その後も雑誌を読むなどしてiPadについての情報収集が必要になりましたが、医薬情報以外にもこうした工夫が案外受け入れられたりします。

 

私はまだまだ「今日の面会はドクターに付加価値を与えるものであった」と思えることが圧倒的に少なく反省するばかりですが、もうすでに付加価値を与えられないMRは淘汰されていく時代になっていますので、この点は意識して取り組んでいる次第です。

 

この記事の著者

ミスターM

外資系製薬会社にて約10年間、おもにクリニック・診療所を担当するMR。
MRに転職する前までは人材サービスのベンチャー企業2年間、その後アメリカ語学留学1年間というちょっと変わった経歴を持つ。
ベンチャー企業で培った「ベンチャー・スピリット」をもとに、NLP(神経言語プログラム)のMR活動への導入、自称・MRで日本初のiPad活用などひと工夫したMR活動を心がけている。
これまで多くの若手有望MRが会社での人間関係を理由に辞めていく様子を目の当たりにしたことから、新しいタイプのリーダーとして出世していき、「社員が毎朝活き活きと出勤する」ことの実現を目標としている。

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