「74歳の転職」

皆さん、こんにちは。
医師・看護師など医療有資格者の方々のキャリアサポートをさせて頂いております”相川 継(あいかわ けい)”と申します。

 

10年前のお話しになりますが、MSの友人より仕事を探しているドクターを紹介したいとのお話しがありました。

「相川さん、自分が担当している耳鼻科医院の院長が仕事を探しているんだけれど・・・」

 

クリニックの院長先生が仕事を探されているケースはよくあります。

 

その理由は様々・・・。

 

クリニックの経営が芳しくないので、または開業したばかりなので患者が少なく、休診日にスポットのバイトをしたい、産業医の資格を取ったので近くの企業で嘱託産業医の仕事をしたい、息子が医大に通ってお金が掛かるので当直のバイトをしたい、後、これはお断りをしたのですが、自院に患者を誘導したいので休診日に同じ診療科の外来で勤務をしたい^^;

 

この院長におかれては、耳鼻科医院を閉院するのでその後の仕事を探されているとのことでした。

 

「ただ、相川さん・・・その先生は74歳で常勤の仕事を探されているんだよね・・・」

「えっ、そうなの?」

 

74歳でも非常勤の仕事なら少なからずありますが、さすがに常勤となるとかなり厳しいです。

 

 

そのドクターとお会いしてみると、やさしい表情でゆっくりと話される、いかにも患者さんに好かれそうな方でした。

 

色々とお聞きしたところ、医院を開業して30年になるとのことですが、もうどうしても医院の運営は体力的にきつく閉院されたとのこと、ご子息がお二人いてお二人とも耳鼻科医として大学病院で勤務をされて、医院を継ぐ気持ちは全くないとのこと、奥様は亡くなられて今はお嬢さんのご家族と同居されていて肩身が狭いこと^^;

 

ドクター曰く、勤務医としてなら体力的に全く問題がなく、少し遠くても構わないので、また耳鼻科にこだわらないので、常勤として勤務をしたいとのことでした。

 

そうして、通勤が2時間圏内でお取引の無い病院や老健なども含めて色々と探しましたが、常勤として受入れが可能なところは全くありませんでした。

 

唯一、お取引先の紹介で、

 

「週2日の耳鼻科の外来で先生がいなくて困っているんだけれど、それでよければ逆に歓迎ですよ」

 

とおっしゃって頂いた50床ほどの病院があったのですが、ドクターにこの求人のお話をすると、

 

「相川さん、悪いけれど週に5日も家にいたくないよ・・・。何とかならんかな。」

とのこと(-_-;)

 

「先生、申しわけないですが、先生のご年齢で常勤の求人となると、離島ぐらいしかないですよ。」

 

「相川さん、私は離島でも構わないのだけれど、娘が絶対にダメだっていうだろうな・・・。じゃ、毎日で無くてもせめて週に3日か4日くらい働きたい・・・。」

 

「(働きたいじゃなくて家にいたくない・・・ですよね!先生^^;)う~ん・・・。」

 

そうして無い知恵を絞って、ドクターに提案をしたのが、週2日の耳鼻科外来と空いている日にスポットで耳鼻科健診のバイトをお願いするというものでした。

ようやく何とかドクターにはこの合わせ技でご承諾を頂き、そこから数年に渡ってこのドクターとのお付き合いが始まりました。

 

週2日の耳鼻科外来については、ご自宅から電車とバスで1時間と少し通勤は大変だったものの、患者さんもそれほど多く無く、当該病院の事務長曰く、経験とキャラクターで、患者さんの評判は良かったとのことでした。

 

ただ、耳鼻科健診については、学校、企業、地域と、日々あちこちの健診先に行って頂き、健診先の受診者の方からクレームが出ることはなかったのですが、依頼先のご担当からは、

 

「1人1人の診察が長い」や「いつも来るのが早すぎる」や「耳鼻科以外の診察はやめて欲しい」

 

等々、真面目なドクターが故のクレームはよくきました。

 

また、

 

「相川さん、老眼鏡を忘れて受診票が見えないんだけれど、どうしたもんかな・・・」

 

という事で、さすがに私も老眼鏡は持っていなかったので、急いで虫眼鏡を健診先まで持って行ったり、

 

「財布を忘れて電車に乗れない・・・」

 

ということで電車賃を持って行ったりと、本当に色々とありましたが、個人的に大好きなドクターだったので、結構、楽しみながら対応させて頂きました。

 

また、何度か飲みにも行きましたが、本当にビールばっかりよく飲むドクターで、一度、ドクターのお嬢さんから、

「相川さん、父に余り飲ませないで下さい!」

というクレームがきたので、それからは必ず5杯でやめて頂くようにしました^^;

 

 

そうして私も転勤でこのドクターの担当から外れ、今は年賀状のやりとりだけになっていますが、10年経った今も齢84ですがお元気で、外来の仕事はもうされていないのですが、耳鼻科健診は週1~2日ぐらいのペースであちこち行かれているそうです。

 

そして今は、お嬢さんの反対があったみたいですが、ご自身の強い希望で老人ホームに気兼ねなくお住まいだそうです。

 

 

いや~思い出しながらこのコラムを書いていると、このドクターに久しぶりに飲みに行きたくなりました(^^)

 

この記事の著者

相川継ドクターキャリアカウンセラー

大学卒業後、一般事務・営業・経営管理等のキャリアサポートに約7年間、その後、医師・看護師等の医療有資格者のキャリアサポートに約12年間従事。現在はマネジメント業務が主となっているが、月に数件の医師・看護師のキャリアサポートも行なっている。

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