いいじま歯科クリニック 飯島浩 院長先生インタビュー

今回は、新潟県新発田市で開業されていらっしゃる、いいじま歯科クリニックの飯島浩院長先生にお話をお伺いしました。

大学病院等でのご勤務を経て19年前に開業された飯島先生は、治療だけではなく予防にも力を入れておられ、皆さんが抱いているような歯科医院のイメージを一新し、魅力的なクリニックづくりをされていらっしゃいます。

患者さん、そしてスタッフの方々も笑顔になれるようなクリニックを目指すようになったきっかけや思いなどを聞かせていただきました。

歯科医師になられたきっかけについて教えてください。

皆さん、いろいろな思いがあると思うのですが、私は歯科医師にだけはなりたくないとずっと考えていました。
私の実家は祖父の代から続く歯科医院を営んでいたので、小さい頃はよく職場で遊んでいたのですが、床を這いつくばって遊んでいると上から血のついたガーゼが飛んできまして。それがとても怖かったということが理由の一つですね。

また、当時はとにかく患者さんが溢れていた時代だったので、朝の5時頃から順番取りのために多くの患者さんが並んでいました。本当に忙しく、夜の8、9時まで働いて診療を終えるのですが、それでも夜中の12時過ぎになって「歯が痛いから何とかして欲しい」と玄関をたたく方もいました。そういう生活を間近に見ていたこともあり、歯科医師にはなりたくないという思いが芽生えていました。

私は次男でしたし、高校入学時には既に長男が歯科医師になっていましたので、父親からは「長男に後を継がせるから、好きなことをしていい」と言われていました。そのため、歯科医師の道は全く考えておらず、漠然と学校の先生になりたいと思い、高校三年生の夏までは歯学部とは違う学部を希望していました。

その当時、私は学校の近くに下宿していたのですが、ある日突然、実家に帰ってこいと言われまして。何の話だろうと帰宅したところ、父親から「歯学部へ進学してほしい」という話がありました。とにかく、何が何だかわからない状態でしたので、大げんかになったことを覚えています。

父親は、兄が私立大学の歯学部へ進学して学費がかかるからと、私が国立大学へ進むことを不憫に思っていたそうです。兄弟の間で差別しないようにと配慮しての発言だったと、間に入ってくれた母親が教えてくれました。

そのような経緯で私立大学の歯学部へ進学することになったのですが、当時はまだ歯科医師になりたくないという思いもあったので、辞めることばかり考えていました。

学生時代、力を入れていたことはありますか?

ソフトテニスに熱中し、友人と遊んで過ごしていました。学業はそれなりに取り組んでいたので成績が悪かったわけではなかったのですが、歯科の知識をどんどん深めていくというよりは、試験に通ることだけを考えていました。

卒業後は、臨床研修を経て就職されたのでしょうか?

私の時代には研修医制度はありませんでしたので、卒業後は就職や大学院への進学が主な選択肢でした。それほど裕福ではなかったことや、勉強をする気持ちがなかったこともあり、大学院は考えていませんでした。

どうしようか考えていた時に、テニス部の顧問だった教授から声をかけていただいたことがきっかけで、大学に残ることにしました。

大学には、どのくらいいらっしゃったのですか?

3年くらい勤務し、先が見えたら辞めようと考えていたのですが、結局は15年いましたね。でも、そこでの出会いや出来事に影響を受けて、少しずつ歯科の世界にのめり込んでいきました。

やはり最初は、目の前に患者さんがいますので切羽詰まっていたのだと思います。思うように出来ないこともありましたので、患者さんに悪いという気持ちが芽生えてからは勉強しましたね。
勉強するにあたり、医局はとても良い環境でした。無料で本が読めますし、勉強する機会も多かったですね。

難しい症例に対して、上手く治療が出来た時はとても嬉しいものです。次第に、患者さんの喜びから自分の喜びへと変化するというところが、なんと面白い仕事なのだろうと思うようになりました。

また、大学では研究の面白さにも気付かされました。
ちょうど、卒後3、4年目頃は工業的に新しいセラミックが出始めた頃でした。今では普通に使っていますが、当時は使いにくかった材質だったこともあり、材料工学のような研究をメーカーの方と一緒に行っていましたね。

この土地で開業された理由をお聞かせください。

場所選びの際には色々とありましたが、基本的には大学の近くで開業したいという思いがありました。やはり、大学の医局が長かったですし、縁もありましたので行こうと思いたった時に、すぐに行ける距離を望んでいました。

そうなると新潟市内が第一候補になりますが、非常に歯科医師が過密していましたので、市内は難しいだろうということで少し離れたところを検討し始めました。
この土地については、何か大きなこだわりがあったわけではないのですが、たまたま兄が近くにいたことが大きかったですね。兄は、岩手の実家を継がずに新発田市の東側で、私が開業する13年ほど前に開業していました。兄の医院を手伝いに行く機会もありましたし、開業のために土地を探していた時に偶然、良いところが見つかったので、こちらに決めました。
ここで開業してから、今年で19年目になります。

ちょうど開業20年目でクリニックを移転されるそうですが、その理由についてお聞かせください。

私の基本的な考えとして、これ以上、診療所を大きくしたり広げたり、移転することはないとみんなに宣言していました。この範囲で出来ることを一生懸命して、次の世代につないでいけるような魅力のある医院にすることに力を注いでいたのです。

実は、来年60歳になるのですが、自分自身のことだけを考えれば、新しいクリニックを作ることはあり得ません。ですが、ここにいるスタッフのことを考えた時に、このクリニックで未来を見ることはできないなと思い移転を決断しました。

私も開業する時にいろいろと夢を見ましたし、この20年間、一生懸命に四苦八苦しながらも楽しくやってきました。スタッフも順調に育ってきたのですが、そうなると器がだんだん合わなくなってきたのです。
鳥かごをイメージするとわかりやすいのですが、鳥かごに鳥を押し込めているような感じで、この範囲では限られた成長しかできないなと感じ始めました。
そのため、もっとのびのびと成長し、羽ばたけるような環境を作ることができるなら、それが一番いいのではないかと考えるようになったのです。

私の今の夢は、自分も含めてここにいるスタッフの成長や楽しみ、面白さをクリニックでどこまで体現できるかということです。

スタッフの成長や楽しみを尊重するようになった、きっかけなどはありますか?

医療というのは、とても抑圧的だと思っています。患者さんのために何かをしなければならない、あるいは我慢しないといけないといった貢献や献身が美徳だと捉えられています。だからこそ、医療の道へ進む人がたくさんいますし、それは非常に素晴らしいことだと思っています。
しかし、おそらく自分ではない誰かのためだけに自分の人生をずっと献身的に捧げ続けるということは苦しいことではないでしょうか。私自身もそうでしたし、周りを見渡してみてもそう感じています。

何年も医療に携わっていると、一所懸命にやっている人ほど続かなくなり、折れて諦めてしまうケースがあります。そうならないために、楽しさや面白さを追求することは必要だと思っています。

院内でのミーティングや勉強会を頻繁に開催されていますが、どのようなメリットを感じられていますか?

紆余曲折しながらこのような形になりました。ミーティングも多いと感じてはいますが、結局のところ大切なのは共有、共感だと思っています。

20人くらいの小さな集合体であっても、同じ意識を保つことは難しいものです。トップである私が常に発信しているので、みんな分かっているだろうという気になっているのですが、人数が増えていくと伝わらないことが増えてきます。真意が共有できていないことも多く、伝達だけでは絶対的に上手くいかないと気付きました。

そのため、今は単なる伝達ではなく、一緒に作り上げていく作業をしています。議論の場にいて経緯を知っていれば、自分事として捉えることができますから。

スタッフ間の連携が取れていると感じたのですが、チーム医療は意識されていますか?

以前、スタッフが増え、効率的に物事を進めなくてはいけないと思った時に、マネージャー、いわゆるコンダクターのように指示に特化したポジションを作りました。一人の指示で動くことができるので上手くいくと思っていたのですが、次第に不平不満が噴出して人間関係が悪化してしまいました。

そこで、これまでのものを全てひっくり返して、みんなで考える体制に変えたのです。その当時は大混乱でしたが、今は少しずつ動き始めましたね。

スタッフの皆さんが患者さんへの気遣いにあふれていますが、どのような取り組みをされていらっしゃるのですか?

そのようなことは自然にできるものではなく、むしろ、医療機関では生まれにくいものだと感じています。それはなぜかと言うと、効率的ではないですし、時間がかかってしまうからです。

そのため、院長や上司がそういった行動を否定しない、取り組みやすい環境を作るように配慮しています。

どうしても歯科は保険診療がメインになりがちですが、こちらのクリニックでは意図的に自由診療も取り入れておられます。その意図について教えていただけますか?

保険診療は制約のある範囲でしか治療できませんが、一方で、どこでも誰でも日本中でサービスを受けられる素晴らしい制度だと思います。
それを否定するつもりは全くないのですが、私たちとしては常に新しい技術や知識を持っていたいですし、だからこそ、その部分はどんどん尖らせていきたいと思っています。
ピラミッドに例えると、自由診療が先端部分にあたり、これが高くなればなるほどすそ野は絶対に広がっていきます。そうすると、保険診療の部分についても自ずと実力が上がってくると考えています。

当然、その境目を越えるためにはお金と時間がかかりますが、そこを求められてもいいように常に準備はしていますし、何でも提供できるようになっていたいという気持ちがありますね。

もう一つは、面白さです。私たちは技術者ですので、先端の技術や知識があって結果がついてくることの面白さを感じています。それなりに大変さはありますが、できるようになれば自分のプライドも上がっていくものです。

新潟市や新発田市における、患者さんの傾向について教えてください。

比較的、皆さん保守的ですね。お医者さんから与えられたものが全てで、医療は受けにいくものだというイメージが大きいようです。

クリニックに対する意見で一番多いのが、説明の不十分さへの不満です。
私はよく口にするのですが、保険診療であっても自由診療であっても、最終的に決めるのは患者さんです。もちろん、正しい知識とアドバイスはしますが、納得して患者さんが決めたことに対して私たちは一生懸命取り組んでいきます。
この、納得するという部分がとても大切で、ここがなければトラブルを招いてしまいます。

地域性という点から見ると、ここは地方都市なので近隣のクリニックでは50代、60代、70代の患者さんが一番多いと思います。ただ、当院では最も多い患者層が0〜10歳、次いで30〜40代です。ちょうどファミリーで来院されているケースが多いですね。

小児歯科を標榜しているわけではないのですが、予防に力を入れていることが響いているのだと思います。20年前は、予防や治療後のメンテナンスについて十分なケアが出来ていないクリニックも多かったので、それを地道にやってきたからではないでしょうか。

今後のビジョンについて教えてください。

もちろん、技術的な面にも興味があって面白いのですが、私たちが患者さんと関わっていくことを考えると、その先に見るべきものは健康だと思っています。そうなってくると、口の中や歯を治すということは当然、その人の良い状態、健康を保てるパートナーにならなくてはいけないですよね。

本当の意味での予防医学にもなりますが、栄養やサプリメント、呼吸や寝る姿勢など全てが関係してきますし、総合的にプロフェッショナルとしてサポートできるような医院になれればと思っています。

最後に、メッセージがあればお願いします。

自分たちが満ち足りていないと患者さんを含め周りの人が満ち足りることはないと感じています。
ところが、クリニックは割と、そういうところから縁遠い環境が多いですよね。自分自身もこれまでを振り返ってそう感じているので、やはり、働く人たちが楽しい、幸せだと感じられるようなクリニックを作りたいというのが私の夢です。

そういうことに共感できる方や、そのために何をしたらいいのか悩んでいる方は是非、当院に来ていただければと思います。

いかがでしたでしょうか。
インタビューを通じて、飯島先生だけではなく、スタッフの方々も笑顔で楽しく、そして常に新しい技術や知識を追い求めて日々研鑽されていらっしゃる印象を受けました。
歯科医院と聞くと敬遠してしまう方が多いかもしれませんが、口の中のトラブルを未然に防ぐための予防にも力を入れておられるので、患者さんにとっては、治療以外でも的確なアドバイスをいただけるような力強い存在なのだと感じました。

【名医情報詳細】

クリニック名 いいじま歯科クリニック
住所 〒957-0063
新潟県新発田市新栄町1丁目6−13
電話番号 0254-23-0648
営業時間 午前 8:30〜12:00 午後 14:00~18:00
※土曜日 午前8:30~13:00  午後14:00~17:00
ホームページ https://iijimadental.com/

【地図情報】

大きい地図で見る

この記事の著者

池上文尋

池上文尋

バブル期の外資系製薬企業に入社、3年間MR(医薬情報担当者)として勤務後、医療機関側の内部に興味を持ち、青森の医療法人事務長として2年勤務。その後、再びMRへ復帰。外資系企業を2社、合計9年を京都担当のMRとして勤務。
MR時代に趣味で立ち上げたMR-NETが徐々に広がりを見せ、MRに対しての情報発信やサポートに目覚める。勤務先の合併を機にMRを退職し、株式会社メディエンスの代表となる。

現在、オールアバウトジャパン「不妊症」ガイド、妊娠力向上委員会企画運営、MR-NET企画運営、医療機関広報コンサルティング、とMR時代に培った医療知識とITスキルを活用し、医療における分野で幅広く事業を展開中。

池上@自己紹介
http://www.medience.info/profile.html#2
オールアバウト不妊症治療ガイド http://allabout.co.jp/gm/gt/1831/
MR-NET http://mr-net.org/
株式会社メディエンス http://www.medience.info/

この著者の最新の記事

ページ上部へ戻る