御所野ひかりクリニック訪問記(秋田)

このたびは秋田市の御所野ひかりクリニック院長の勝田光明先生にお話を伺ってまいりました。勝田先生は、私が製薬企業に新入社員で入った時からの先輩である木島さんからご紹介を頂きました。また、実は、以前このサイトでもご紹介した染谷先生の虎ノ門病院時代の後輩でもあるということで、取材前から何かご縁を感じた次第です。

それでは早速、勝田院長へのインタビューの様子を紹介してまいりましょう!

●いつもお伺いしていることなのですが、最初に医師を目指された理由と循環器を専門に選ばれた理由を教えてください。

私がまだ小さかった頃の話になりますが、私の祖父が亡くなる当時は病室のコールを鳴らしても、先生や看護師さんがなかなか来てくれないという時代背景がありました。苦しむ祖父に寄り添う中で「身内に医師がいたらどんなに頼もしいだろう。もし自分で診ることができれば…。」その時の思いが医者を目指したきっかけとなりました。

ただ、うちの家系には医療関係者が誰もいなかったので、実際には中学生くらいの頃に思い立ったという感じでした。医師になるのは、勉強がなかなか大変でしたね。

それから循環器を選んだ理由は、「生きる」「死ぬ」に直接、関われると思ったからです。目の前で人がぽんと倒れた時に、自分はすぐに救える医師になりたいと考え、心臓の関係を選びました。

ただ日常の中では、実際に人が倒れる瞬間はそれほど無いということに後から気が付きました。でも循環器の医師をやっていると、本当に心臓が止まる瞬間にちょくちょく遭遇します。そういう意味では、初心の志を具現化出来るいい科を選んだなと思っています。

実は、もう一つ、東洋医学、漢方の専門医を持っています。世界各国でも、日本は非常に珍しく、西洋医学と東洋医学を一緒にやることができる恵まれた国です。ちなみに本場の中国では、中医、西洋医は別です。こういう環境にいながら、漢方の知識を持っていないというのはもったいないと思い、医師になってから漢方についても勉強し専門医をとりました。

●東洋医学は奥が深い医学だと思いますが、実際にどのように役立っていますか?

どこかが痛いと言っている患者さんに痛み止めを出しても、なかなか治らないことがよくあります。西洋の鎮痛剤は、頭に「解熱」が付き、解熱鎮痛剤となります。実は冷えで痛い人の場合には それが効かないことがよくわかっています。

例えば、手足の冷え性があると、おなかが痛くなるということがありますね。なぜその状況になるかというのは、東洋医学を勉強することにより、「いろいろ検査をしてみて、痛いと言っている部分は大丈夫だ。じゃあ別の理由があってこの痛みがある」ということがわかるようになりました。西洋医学と東洋医学を上手に組み合わせることで、診療に役立てています。

●先生の治療上のこだわりを教えて頂けますか?

限られた診察時間で、患者さんが「ここに来てよかったな」と思って帰ってもらいたいですね。そんな思いを感じて頂けるように、言葉の勉強、それ以外に経営、営業の勉強を一生懸命しています。

毎日、多くの患者さんが心配事や悩みをいろいろお話されるのですが、なぜこの患者さんがここに来ているのか、ここから帰ったとき、ここに来て元気になったなと思ってもらえるように、と考えています。

薬が一番じゃなくて、いかに患者さんが元気になって帰っていくかを大事にしたいですね。そして、朝、診療をスタートした時から、最後の患者さんが終わるまで、どんなに遅くに患者さんが来ても絶対に笑顔ですね。

●先生のご活動を拝見していると、勉強会KIZの会や医師会の広報として活動されたり、テレビ出演されたり、情報発信、情報共有に務められているようなのですが、詳しくお話いただけますか。

患者さんや利用者さんを全て一人では診られませんね。そういう時に、それぞれの医療従事者とどういう方向、方針でやっていけばいいかという意識の共有のためにコネクションをつけていくというのが一番大切かなと思います。

KIZの会は、Kは介護、Iは医療、Zは在宅で、KIZの会です。なぜ介護を先にしたかというと、介護の人たちは地位が非常に上がりにくい状況です。そこで医療よりも介護を意図的に先にもってきました。

●関連施設 *介護施設「ひかり桜ケアクリニック」について  (ショートステイ杏) 

貴クリニックのサイトを拝見したのですが、このクリニック以外に、睡眠のクリニックとショートステイの介護施設を運営していらっしゃいますね。患者さんのニーズに応えながらクリニックを拡張されているというイメージを感じました。その辺を詳しく教えていただけますか。

実は、このクリニックを立ち上げる段階で、介護施設をやると決めていました。その時に、現在の施設長である澤田施設長に、「5年後に施設を建てるから、その準備のために必要なものを調べておいてほしい」とお話しました。

その理由は、自分が医者をしていて、患者さんを診ることができても、自分の親が年を取ったとき、自分が何かやろうとするとなかなか難しいと思いました。そこで、自分の親が「入ってもいいよ」と思ってくれるような施設を作って、自分で診ようと考え、非常に気合をいれて介護施設を作りました。

「ひかり桜ケアクリニック」という介護施設で、コンセプトとしては、本当におもてなしができるホテルのような施設になっています。

ショートステイ杏
関連施設 *介護施設「ひかり桜ケアクリニック」外観です。(ショートステイ杏)

一般的な施設のお風呂場は、色がピンクだったり、ブルーや緑の薄い色だったり、実際におうちでは一般的に使わないような色がよく使われていますね。うちの施設のお風呂場は全部、色も統一して特注なのです。家にいるような感覚で、とても落ち着いています。

介護施設「ひかり桜ケアクリニック」病室です。
関連施設 *介護施設「ひかり桜ケアクリニック」病室です。

食事に関しても、プロの調理師がおり、本当にシェフの味です。だって親においしいものを食べさせたいじゃないですか。食器も、全部メラミンじゃなくて、陶器を使っています。こういう施設がいっぱい出来てくれば自分たちが年を取ってきた時にも安心だなと思っています。

●介護施設「ひかり桜ケアクリニック」をつくるにあたり、こだわりについてもう少し詳しく教えてください。

当施設は、利用者様とご家族様に安心していただき、やすらぎのある快適な生活を送っていただけるよう、室内はもちろん外観からこだわりました。
医療・介護の融合を目指し、ゲストを迎える精神・心のこもった料理・くつろげる空間を提供したいと考えて作りました。

実際に施設を見学した木島さんのよると、施設全体から細かい蛇口の取付部分まで、使う患者さんにとことん配慮して作り込んでおり、更にそこで働くスタッフの笑顔が加わり素晴らしいやすらぎの空間を作り出しているそうです。

●関連施設 *「ひかり睡眠ケアクリニック」について

秋田でも介護は大きな問題で、どちらかといえば全国よりも先取りしてそういう問題が起きていると思うのですが、いかがでしょう?

秋田は全世界で一番高齢化率が高いのです。秋田にはいろいろなワーストがあるのですが、高齢化率が高いことを逆手に取ると介護先進国といえますね。

ちなみに、介護さんたちの心配事は、夜中何かあったときすごく大変だということなので、それに注目して、睡眠時の無呼吸症候群のためのクリニックを建てました。

ひかり睡眠クリニック外観
ひかり睡眠クリニック外観です。

夜には、21時までドクターがいるし、看護師もいます。何かあった時には、同じ建家なのですぐにコンサルテーションができるという仕組みを作りました。

睡眠時無呼吸症というのは全然注目されていなくて、重症だといわれていても65%が無症状です。でも、睡眠時無呼吸症があると、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、糖尿病、脳卒中、認知症が通常に比べて高くなります。秋田では、認知症や脳梗塞、脳卒中が非常に多いのですが、それを予防できるのではないかと考えています。予防が非常に重要だと思うのです。睡眠時無呼吸症の患者さんには、突然死や交通事故の発生率も高いということで、社会貢献のためにやろうかということで大学と一緒にやっています。

●どれくらいの患者さんが来られるのですか。

夜7時から9時までで、10人から20人のあいだくらいです。CPAP(continuous positive airway pressure:鼻にマスクを装着し、そこから空気を送り込んで圧力を気道にかける睡眠時無呼吸症の治療法)を必要とする患者さんも結構います。それをやることで予防につながるので、将来的なコストパフォーマンスを考えると非常にいいのではないかなと思います。

ひかり睡眠ケアクリニック(検査室)
ひかり睡眠ケアクリニック(検査室)

●今後、どんなことをやろうと考えていらっしゃいますか。

今の他のメーカーと一緒にタイアップをしています。例えば、この「iPOSH」は次世代の消毒で、消毒液なのですが、食品添加物として飲んでも大丈夫だと言われています。もともと次亜塩素酸なのですが、製法が違い、長期間持つ上に安全性が高いのです。赤ちゃんや子供にも大丈夫です。インフルエンザのウイルスは速攻で死にますし、ノロも30秒以内で死んでしまいます。こういう取り組みもやっています。

また、ピエゾセンサーというものがあり、置いているだけで、心拍と呼吸、体動の状態がわかるものなのです。これによってベースになるデータを集めて、無症状なので病院に来ない人たちの病気予防につなげていく開発をしようとしているところです。

開発を進めていって、医療機器としてではなく、ベーシックに自分の健康を知っていく状況を作り上げていきたいのです。

●セルフケアから、医療の方にどう持っていくかという橋渡しですね。青森、秋田、岩手という3県は脳血管障害が多いですね。食生活は悪いですし、塩分をいっぱい取りますし、お酒もよく飲みますし・・・ こういう人たちはどうしたらいいのだろうと思っていたのですが、こういうふうに一つずつ出来上がっていくと、改善していきそうですね。

今まで夜寝ているときのデータはあまりなかったのですが、これで情報をとることができるようになります。よりよい睡眠という定義はいろいろあるのですが、本当によい睡眠というのは一人一人違うのです。

アスリートの人たちは、食事、睡眠、体力作りなど、ものすごく体にケアしているのですが、ビジネスアスリートと言われているような、日本だけではなく、世界飛び回る様なビジネスアスリートはどのくらいのケアをしているのかと考えると、そのへんもターゲットかなと思っています。

ビジネスアスリートをいかに健康にできるか。健康でいられれば、パフォーマンスが上がると思うんですよね。そしてパフォーマンスが上がったときに、日本の復活ができるのではないかと考えています。

●もちろん、先生には秋田の方々を救っていただかなければいけないのですが、他の地域への展開もお考えでしょうか?

実は、日本だけではなく、世界にも飛び出さなければいけないということで、今、中国で何かできないかなと考えています。結局、アジア全体を見たときに、全ての国で高齢化が進んでいます。

アジア全体の高齢化率は、やはり人口が多い中国に引っ張られていて、中国は日本と同じような経過をたどっています。そちらの方に目を向けていきながらやっていきたいと思います。日本だけではなくて、世界を視野に入れないといけないと思っています。

日本の技術は、結構上のクラスです。ただ欧米諸国から言うと医療技術は下がっています。日本の国が元気な人が少なくなりすぎていますよね。

それから、うちが注目しているのはアフリカの方々です。まだ先の話なのですが、この間、ボツアナの大使がうちにきました。もともと秋田大学と繋がりがあり、医療提携をしないかということでプロジェクトとして向こうに学校を作れればいいなと仲間と話をしています。NPO法人のテラ・ルネッサンスの鬼丸さんという方が、子ども兵士の問題を熱心にやられているので、そういうところとは我々との繋がりが強いのです。

秋田にいて、こんな話を聞けるのはなかなかないのではないかと思います。田舎にいるからできない、というわけではなくて、秋田から発信するという形を作りたいです。私の場合は、秋田を元気にしようじゃなくて、秋田を引っ張っていける、秋田に人が来る、というそういう環境を作りたいなと思っています。

<まとめ>

秋田から日本全国、そして世界に情報発信するんだということで様々な先生の取り組みを見て、正直ワクワクしました。

このインタビューではまだ聞けなかったこともたくさんあるので、また、お話を伺う機会を作りたいと思います。

お忙しい中、インタビューに応じて頂いた勝田先生に厚く御礼申し上げます。
また、勝田先生につないで頂いた木島さんに心より御礼申し上げます。

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【名医情報詳細】

クリニック名 御所野ひかりクリニック
住所 〒010-1423
秋田県秋田市仁井田字横山260-1 横山金足線 ファミリーマート向かい
電話番号 018-829-8880
営業時間 午前 9:00 ~ 11:30
午後14:00 ~ 17:30
ホームページ http://hikari-clinic260-1.jp/hikari/

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この記事の著者

池上文尋

池上文尋

バブル期の外資系製薬企業に入社、3年間MR(医薬情報担当者)として勤務後、医療機関側の内部に興味を持ち、青森の医療法人事務長として2年勤務。その後、再びMRへ復帰。外資系企業を2社、合計9年を京都担当のMRとして勤務。
MR時代に趣味で立ち上げたMR-NETが徐々に広がりを見せ、MRに対しての情報発信やサポートに目覚める。勤務先の合併を機にMRを退職し、株式会社メディエンスの代表となる。

現在、オールアバウトジャパン「不妊症」ガイド、妊娠力向上委員会企画運営、MR-NET企画運営、医療機関広報コンサルティング、とMR時代に培った医療知識とITスキルを活用し、医療における分野で幅広く事業を展開中。

池上@自己紹介
http://www.medience.info/profile.html#2
オールアバウト不妊症治療ガイド http://allabout.co.jp/gm/gt/1831/
MR-NET http://mr-net.org/
株式会社メディエンス http://www.medience.info/

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